ジャニーズ事務所の記者会見が昨日(2023年9月7日)ありました。
新体制の発表や、被害者の救済、長い期間におけるメディアの黙殺など話題が多く、その話題は海を渡って世界で放映されているようです。
こうした「出来事」は、ジャニーズに限らず、他の芸能事務所でもニュースになることはあり、そうした「体で契約をとってこい」「とってくる」とした枕営業という形が、他から強要されたり、自発的だったり、色々な形の中で行われるようです。ジャニーズの大きな違いは、そうしたやり方を選択するかしないかの余地もない、少年たちが一方的に毒牙にかかった点でしょう。
今回、心理カウンセラーの意見として心理的な視点で何が起きているのかを考えます。
犯罪心理学の視点では、男性の性被害というものは、女性とはまた異なる部分があります。
たとえば、男性の場合、本人が精神的に嫌がっていたとしても、「体」は反応してしまったり、「最後までいって」しまうことがあります。
それを理由に、加害者側が「向こうも楽しんでいた」「拒否しなかった」などと自分の悪さを否認したり、法廷で皆の前でそれを暴露することもあります。
さらに、被害者である男性自身も、自分の体が反応していた事実を思い出し、「自分は本当は楽しんでいたのではないか」と自分で自分の傷を埋めるように、記憶を変えようとしたり、事件そのものの記憶を忘れてしまったり、あるいは笑い話としてたくさんの友人の前で公開することで「なんでもなかった。自分は大丈夫」と思い込むことで、心の「埋め合わせ」をします。
臨床心理学の視点では、性機能障害を扱うセックスカウンセリングというものがあります。
病気やケガ、あるいは薬の副作用や、パートナーとの関係性の中で性行為がうまくできなくなる問題を扱います。
この中に、過去に受けた性的虐待やレイプなどの被害者が含まれており、男性の場合、性交時に身体が反応しない、最後までいかない、記憶が蘇ってその気になれないなどがあります。今のパートナーとの関係にも影響を及ぼすため、パートナーの協力やカウンセリングが必要になります。
性被害を受けた場合、深刻な心理的後遺症として(全員がなるわけではありません。)、自己肯定感や自尊心の低さ、自分に価値や能力がないという自己卑下、自暴自棄になって不特定多数との乱交や売春にはしるような自分を大切に出来なくなり、自傷行為や自らの命を捨てるような行為や、不登校や引きこもり、うつ病、PTSDなど、カウンセラーにとっても総力戦になるような場合もあります。
個人的に最も問題だと思うのは「他の人と良好な人間関係を築けなくなる」ことです。
そして、男性は被害にあわない、むしろ加害者側だという思い込みも、とても残念ですが事実として広くあるものです。
今回、被害にあった男性たちがテレビの前で顔や名前を出し、世に事実を訴えるために頑張っていらっしゃいます。
これも、とても勇気がいることで、それが出来ない多くの他の被害者からの見えない応援も多いでしょう。
いずれにしても故人の行ったことなので、新体制となったジャニーズが今度こそ、新しいスタートを切れるよう祈っています。