高校生や社会人が選ぶ進学先や医療系資格として、今も昔も抜群の人気を誇るのが看護師の資格です。誰もが人生でお世話になったことがあり、職場や仕事のイメージがつきやすいこともあって、女性はもちろん最近では男性の希望者も珍しくありません。看護学部に入学する志望動機として、「人の役に立てる仕事」「感謝される仕事」などの理由もありますが、表には出にくい圧倒的な裏の理由の多くが、「くいっぱぐれない」資格だという、資格そのものの強さにあります。看護師は常に人手不足なので、どこに行っても雇ってもらいやすい、いつでも再就職しやすい、などの強みの副作用が、タイトルにある「離職率の高さ」になるといえるかもしれません。
とは言っても、看護師の仕事が激務であり、責任の重さもあることは事実です。まして、「入ってきたばかりの新人が多い(理由は上記)」ような職場で、管理職となる看護師さんの身体的・精神的苦労は想像を超えるものがあります。そんな自分たちの境遇を差し置いて、自分の部下たちのメンタルヘルスの心配をしてくださる管理職看護師さんたちの言葉が、「7割」の職場でメンタルヘルス問題が増えている、というものでした。
病院という場所は、カウンセラーはもちろん、精神科医だっているのだから、さぞかしメンタルケアも充実しているように思えますが、実際は激務すぎてそれどころではないのかもしれません。カウンセラーはいることはいるのですが、使ってもらえないのでは効果も期待できません。産業カウンセリングは、看護師に限らず、使ってもらえるだけの時間的、マンパワー的な配慮がどうしても必要になります。日本がもっともっと、働く人が「助けて」と言いやすい国になるといいなと思います。