そもそも反抗期とは何でしょうか。心理学的には、12歳前後の思春期以降に訪れる反抗期を『第二反抗期』と呼びます。
この時期は自我が成長し、自律心が芽生えて、自分で善悪や物事の判断をしようと行動し始める、成長においてとても大切な時期です。
臨床心理士の町田奈穂さんいわく、「現在、反抗期を迎えることがなく大人になる人が増加している社会的背景としては、親や先生に怒られることや強く押し付けられることがなくなったという教育方法の変化があるのではないでしょうか。理不尽に怒られたり、押し付けられ自分の意見が尊重されることがない環境では、そもそも反抗する必要がないため、反抗期を迎えることなく成長していくと考えられます。」
思春期の反抗期は、これまでの定説では「あったほうがよいもの」「成長のために欠かせないもの」という位置づけでしたが、ここ20年ほどの若い人達の中に、反抗期を経験したことがない、という方が一定数見られるようになり、必ずしも彼らが大人になって問題がある人間でもないことから、反抗期を経験しない思春期の子たちの存在が、静かに市民権を得てきた気がします。令和になって、教育や子育ては、ますます子どもを尊重し、子どもの意思に合わせて、大人が動くような場面も多々増えてきました。今の中学校や高校が、昭和のころと同じだと思っていたら、その実態の差に驚くでしょう。
とはいえ、反抗期を経験することで身につくはずだったものや、育つはずだったものが、抜け落ちたまま大人になって、本当に大丈夫なのかは慎重に判断したいものです。それが他の形で補完されるものならよいですが、そこでしか経験できないものだったら、後で何か「しこり」を残すかもしれません。
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